【完結】偽り夫婦の夫婦事情〜偽りの愛でも、幸せになれますか?〜
妻としての自覚が足りなかった。それは言われなくてもそうだと思っていた。
これからは気をつけないとと思った。わたしは鷺ノ宮家の御曹司の妻として、もう少し彼を支えていかないといけない。
「そんなことはない。聖良は俺の妻として、よくやってくれている。洗濯だって、洗った後ちゃんとアイロンを掛けてくれているしな。手間が掛かるというのに。部屋だっていつもキレイだ。……俺は君に本当に感謝しているよ」
「……ありがとうございます。そんなこと言ってもらえて、わたしも嬉しいです」
この気持ちは本当に本心だった。やっぱりそう言ってもらえると、とても嬉しい。
「俺は聖良、君が俺の妻でよかったと思っている。この気持ちはウソではない」
「……ありがとうございます。そう言って頂けるのは、光栄です」
なぜ棗さんがそんなことを言うのかは分からなかったけど。その気持ちは純粋に嬉しかった。
「君はどうだ?」
棗さんからの突然の問いかけだった。