【完結】偽り夫婦の夫婦事情〜偽りの愛でも、幸せになれますか?〜


 
 「……はい」

 「今すぐにとは言わない。……いつか俺のことを好きになってくれるその日まで。俺は待つつもりだから」
 
 「……棗、さん」

 棗さんの気持ちが心の中に浸透していくのが分かった。……その瞬間に感じたのは、言葉ってすごく偉大だなと思ったことだった。

 「こんなことを言うつもり、なかった。けれど、日に日に君への想いは大きくなるばかりだった」

 棗さんのその真剣な眼差しがわたしの瞳を捉えて離さない。……その瞳に、吸い込まれていきそうだった。

 「話が長くなってしまったな。食べようか」

 「……はい」

 わたしたちはその後も運ばれてきた料理を二人で話ながら食べた。結婚してから2ヶ月経って。初めてこんなに、棗さんと話をした気がする。

 「ん、これも美味しいです」

 真鯛のグリルだけでなく、手長海老のスープなども全部美味しかった。デザートには、シェフの手作りだと言うカラメルソースのプリンも用意されていて。すごく豪華だった。


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