【完結】偽り夫婦の夫婦事情〜偽りの愛でも、幸せになれますか?〜
「……大丈夫ですか?棗さん」
「ああ、大丈夫だ……。心配かけてすまない」
「いえ。飲み物買ってくるので、待っていてください」
わたしは飲み物を買うため、自販機に行った。自販機でお茶を2つ買って、棗さんの元へと戻った。
「棗さん。お茶どうぞ」
「ああ、ありがとう」
「はい」
棗さんはペットボトルのフタを開けると勢い良くお茶を飲んだ。そして器官に入ってしまったのか、棗さんはむせてしまったようだった。
「ゲホゲホ……!」
「だ、大丈夫ですか?棗さん……?」
「ああ。悪い……。勢い良く飲みすぎたみたいだ……」
「ムリしないでください。ゆっくりでいいですから」
そんな棗さんを見て、わたしも棗さんのことを少しだけ知れたような気がした。……棗さんも、こんな顔するんだなって。
そう思ったのもまた事実。棗さんのことを少しずつ知っていくことも悪くないと。……今改めて分かった気がした。