【完結】偽り夫婦の夫婦事情〜偽りの愛でも、幸せになれますか?〜



 「聖良?どうしたんだ?」

 「……棗さん、わたし」

 「ん?」

 「……わたし、棗さんの妻でよかったと。そう思えるようになりたいです。……あなたのことを夫として、一生愛していけるようになりたいです」

 「聖良……」

 棗さんはわたしを見つめながら、優しく微笑んで。そして優しくこう言った。

 「聖良、お前の気持ち、とても嬉しいよ。俺は聖良のことを死ぬまで一生愛していく自信がある。……だから聖良にも、いつか俺のことをちゃんと一人の男として愛してもらえるように、頑張るよ」

 「……棗、さん」

 棗さんのその気持ちはとても嬉しくて。それはわたしの中でも、何かが大きく変わる瞬間だった。

 「今すぐじゃなくていい。俺のことをいつか、愛してると言ってくれ。その時まで俺は、待っているから」

 「……はい。長く待たせてしまうかもしれませんけど。待っていてください」

 棗さんのことを心から好きになれるその日が来たら、わたしは棗さんに愛してると、必ず伝えよう。

   

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