【完結】偽り夫婦の夫婦事情〜偽りの愛でも、幸せになれますか?〜



 
 「すごいな?キレイだな」

 棗さんはずっとわたしの手を握ってくれていた。その手の温もりは温かくて。なんだかホッと安らぐような温かさだった。

 「はい。魚、とても可愛いです。色鮮やかですね?」

 「そうだな。可愛いな?」

 「はい。可愛いです」

 「でも魚よりも、聖良の方が可愛くて好きだけどな?」

 「ええ?」

 棗さんは急にそんなことを言い出したから、わたしはびっくりしてしまって……。少しだけ照れてしまった。

 「聖良、ゴマフアザラシがいるぞ?」

 「え?本当ですか?」

 「ほら、あそこ。ゴマフアザラシだ」

 「本当だ!可愛い〜」

 ゴマフアザラシ、とても可愛かった。ゴマフアザラシ昔から好きだから、見れてよかったと思った。

 「聖良、写真撮ってやろうか?」

 「本当ですか?お願いします」

 ゴマフアザラシと一緒に、写真を撮ってもらった。これもまた、新婚旅行の思い出だ。

 

< 90 / 264 >

この作品をシェア

pagetop