【完結】偽り夫婦の夫婦事情〜偽りの愛でも、幸せになれますか?〜




 棗さんは恥ずかしいからと言っていたけど。これもまた新婚旅行の思い出の一つだと言ったら、買ってくれた。……嬉しい。単純にそう思った。
 
 新婚旅行の初日は、美ら海水族館に行き、時間が余った時は海辺でふたりで少し夕日を見ながら話をした。これもまた、思い出になった。

 「……聖良、今日はとてもいい日になったよ。ありがとう」

 「……はい。わたしも、です」
 
 「聖良。俺はお前を愛している」

 「棗……さん」

 海辺の砂浜に二人並んで腰掛けて、棗さんとふたり微笑んだりした。……そしてそのまま、夕日の沈む海辺で、そっと唇を重ね合わせた。

 沖縄のキレイな海辺で交わしたキスは、とても優しくて。だけどほんのり温かくて。幸せな気持ちになった気がした。

 「……聖良」

 キスの後、優しく抱き寄せてくれた棗さんは、わたしの頭を優しく撫でながら、手を握ってくれていた。

 新婚旅行だからかもしれないけど。……棗さんの横顔がとてもカッコよく見えた。
 

 
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