【完結】偽り夫婦の夫婦事情〜偽りの愛でも、幸せになれますか?〜
「それはよかった。聖良のために、特別に用意させたんだ」
「ええっ?わたしのために……?」
どうしてもわたしのために、そこまで……?そこまでしてくれるなんて……。どうしてなんだろう?
「そうだ。お前との新婚旅行を隅々まで楽しみたくてな。……料理も最高級のものを食べてほしくて用意した」
「……ありがとうございます」
その気持ちはとても嬉しかった。そこまでしてもらう義理はわたしにはないのに。そこまでしてもらえるなんて、感動でしかない。
「聖良に美味しいものを食べてほしくてな。……君の笑顔が見たくて」
「棗さん……。ありがとうございます」
「お気に召してくれたようで、よかった」
「……すみません。わたしのために、そこまでしていただいて」
「気にするな。妻のためだ。何も苦はない」
……棗さんって本当に、優しい人なんだな。棗さんが少しクールな人だと思っていたけど。本当は妻のために色々と頑張ってくれる優しい人なんだな。