K氏のクリスマス
 忘れもしない、クリスマスまであと十日に迫ったあの呪われた日。妻と子どもたちは、妻の運転する車で、街へ買い物に出かけた。働き詰めの父にねだるプレゼント候補を物色するためだったのかもしれない。あるいはそれとは逆に、父へ送るプレゼントを探すためだったのかもしれない。その真実を知ることは永遠にできない。なぜなら、K氏のかけがえのない大切な家族を乗せた車にブレーキの壊れた大型トレーラーが突っ込んできて、みんな帰らぬ人になってしまったからである。
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