きっかけのさよなら。




予感はしていたの。

ただ、それが現実になるなんて予想したくなくて、気づかないフリを重ねてしまった。


重ねた "フリ" は、溝を大きくするばかりだというのに。




「…ごめん。

もう依鈴(いすず)に、会いたいと思わないんだ」




そう、彼に言わせるまで、一種の倦怠期のようなものだと信じたかった。




「だから、別れてほしい」



そう、苦しい顔で言われるまで。


いつかは、戻れると思いたかった。

目が合うだけで笑い合えてた、幸せな頃の2人に。


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