きっかけのさよなら。
「…2年も一緒にいたのにな」
恋人達が浮き足立つクリスマスシーズンに入ってから、別れを告げられた彼と、一緒にみるはずだったイルミネーション。
青とシルバーが、1秒も待てずに共鳴し合うみたいに、次々と変わっていくキラキラ。
それは、確かに今も、私の目の前にあるのに。
魔法みたいに輝いてみえて大好きで。キレイだと喜ぶ私のことを、依鈴の目も同じだねと笑ってくれた彼は、いない。
私の傍には、もういない。
かわいいといって、好きだよと囁いて。
やさしいキスをくれた彼は、2度と…
何もしなくても、凍えるほどさむいこの季節に、余計に冬の冷たさを感じてしまう。
つらい。
当たり前なのに、分かっていながら、電車に乗ってまで見に来てしまう私は、大バカものだ。
…彼も、どこかでイルミネーションをみて、私を思い出してくれたらいいのに。
きっと。絶対に、それはない。
「…イルミネーション、もう終わりましたよ?」
消灯しても動けずにいた私に、青と白のチェック柄のハンカチが顔を出した。