私、身代わり妻だったはずですが。
○離れても離れることは出来なくて。
「はい、綾瀬さん。給与明細ね」
「ありがとうございます」
業界は全く違うが事務として転職が出来、ようやく仕事にも慣れて来たばかり。
「心咲ちゃん、心咲ちゃん。ご飯食べに行こ」
「香代(かよ)さん。うん、行く」
お弁当を持って会社近くの公園へ向かい、日が当たるベンチに2人で座りお弁当を広げる。
「悪阻はどう? もうじき3ヶ月なんだよね?」
「はい……まだ悪阻はあるんですけど、きっとこの子も頑張ってるんだって思うから辛くは無いです」
「そっか、今日はあったかくてお散歩日和だよね〜」
香代さんは先に食べ終わると立ち上がり、伸びをした。私も食べ終わり、お弁当箱の片付けをした。
「そうですよね、仕事なかったら散歩行きそうです」
「だよね」
ゆっくり会社へ戻ると、会社で待っていたのは……私から離れたはずの和志さんがいた。