私、身代わり妻だったはずですが。
『和志さん……あのね、これ』
千咲が亡くなる少し前に、彼女に渡されたものを思い出す。
『私が死んでも、和志さんに好きな人できたらその人と幸せになってほしいの』
『千咲は、千咲は……死なないよっ』
『ううん、私死ぬよ。自分の身体だもん……そのくらい分かる』
彼女はそうはっきり言って記入済みの離婚届を差し出した。
『和志、離婚しましょう』
* * *
千咲はこうなること、分かってたんだろうか。俺が心咲ちゃんを好きになること。
もし分かってくれていたとしても、1年も彼女に千咲の身代わりをさせていたなんて言ったらとても怒るだろうなぁ……。
その後は、彼女を必死に探した。ちょっとだけ抵抗あったが興信所にも依頼をしてから1ヶ月経とうとした頃に彼女を見つけた。