私、身代わり妻だったはずですが。
* * *
「─︎─︎─︎あの、和志さん?」
定時で上がらせてもらい、会社近くにある喫茶店・タサキに和志さんと待ち合わせをした。
なんで私の居場所がわかったんだろう。なぜわざわざ来たの……? もしかして、許せなくて訴えるとか。
「手紙、読んだよ。心咲ちゃん」
「……っ……」
「ごめん! 心咲ちゃん!!」
大きな声をあげ、和志さんが頭を下げた。
「か、和志さんっ?」
「俺、俺は知ってたんだ。君が千咲として俺と暮らしてること」
え……っ? 記憶なくなってるんじゃ、なかったの?
「確かに葬式後、君が千咲にとても似ててそう言ってしまったのは事実だ。だけどさ、心咲ちゃんと千咲は違うじゃん……性格も声も好きなこと嫌いなことも違うんだから。だけど、俺は君に甘えてしまった。ここに千咲がいたら……と心咲ちゃんと千咲を重ねていたんだ」
「……私のこと、怒って……ないんですか?」
「なんで怒る必要ある? 怒られるなら、俺の方だよ」