私、身代わり妻だったはずですが。
「これ、その時の写真」
スマホのアルバムアプリには役所前で和志さんと千咲がピースしている……2人で持っているのは離婚届だ。
「え? どうして……?」
「俺と千咲は離婚したよ、その日にね」
「えっ……でも、あんなに好き合っていたじゃないですかっ?」
妹の私でも胸焼けがするくらいラブラブだった気がする。私の記憶の中では、ずっと恋人みたいな……。
「好きだからだよ。好きだからこそ、俺と千咲は別れたんだ」
「……好き、だから……?」
好きなら……なんで? 私にはできないよ……。
「千咲の願いでもあったんだ。だから俺はその願いを叶えてあげたかったんだ」
「和志さん……」
和志さんは思い出したかのようにテーブルに一枚の手紙を出した。
「これ……千咲の字……」
「心咲ちゃん宛の手紙を千咲から預かっていた」
【心咲へ】と書いてある封筒にの中には一枚のメモ用紙。そこには一言、書いてあるだけだった。