私、身代わり妻だったはずですが。
* * *
「ただいま〜」
「あ、千咲。お帰りなさい、今ご飯出来るし先お風呂入ったら?」
帰宅すると和志さんが鍋に火をかけて何かを混ぜていた……もしかして、ハヤシライスかな?
「うん、ありがとう。そうするね」
「はーい、いってらっしゃい」
私は、鞄を置きスーツのジャケットを脱いで浴室へ向かう。脱衣所へ向かうと引き出しからパジャマと下着にバスタオルを取り出す。
「……恥ずかしさもないなんてねぇ」
家事全般はほとんど在宅ワークの和志さんがやってくれていて、もう全てをお任せ状態。洗濯物もやってくれているからもちろん、私の下着も見られている。
なのに、恥ずかしさもないなんて女捨ててるわ……しかも、他人に。
洗濯物を洗濯カゴに入れて浴室へ入り、浴槽の蓋を開けた。するとあったかい蒸気がもこもこしていて浴室が温かくしながらシャワーを浴びる。
「……和志さんは、まだ記憶戻らないのかなぁ」
和志さんは、親戚でもなんでもないただの同居人だ。ただの同居人じゃ、おかしいかもしれない。
彼は、私の姉の旦那様なんだから……。