きみの手のひらで、僕はおどる。





困った僕をみて、ウソだと。
やさしさで上書きしてくれたきみ。


ひとさじこぼれた不安に気づいて、まるごと拾いあげてくれるきみに、僕はきっと敵わない。



「ごめんね?」



不安にふれるようにそっと。

お得意のごめんと共に頬へ添えられたきみの手は、僅かにふるえていて。いつものごめんを違う色に変えた。



その感覚にハッとする。

向き合いきれていなかった自分のよわさと。

彼女だって、思わないことが0な訳はないのに、のみこませてしまったことに。


あげく、手を引いてもらってばかりでどうする。


彼女のやさしさにあまえていたけど、この手を守っていくのは、僕だ。



今たしかに僕の頬にある温もりが消えてしまわないようにと、つかまえた、きみの手。



「僕の方こそ、ごめん」


僕よりひとまわり小さな手をぎゅっと握って、言葉では足りない想いを込めるように、自からのおでこへと寄せた。


応えるように反対側からおでこを合わせてきた彼女が、くすりと笑う。



「それだけ星は私のこと好きなんだなぁって思っておくからいいよ」


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