偽装懐妊 ─なにがあっても、愛してる─
「きゃっ」
部屋の中へと引っ張り込まれ、リビングのソファに放られた。
体勢が整わないうちに、冬哉さんの体が片膝をのせて迫ってくる。
「冬哉さん……? どうしたんですか? 私、またなにか……」
「うるさい。ヘラヘラ笑うな」
もう笑っていなかったが、指摘されてピシャリと表情を変えた。相変わらずどうして彼を苛立たせてしまうのかわからず、さすがに目もとが潤みだす。
「ごめんなさい……」
どうしてそんなに怒っているの?
「俺以外と話すな。笑顔を向けるな」
「は、はいっ」
「ほかの男に気安く絡まれてんじゃねぇよ。お前、俺の人質だってわかってんのか?」
言葉が乱雑になっていく彼に迫られ、恐怖とともにドキドキと胸が鳴っている。怒られているのに、初めてまともに目を合わせてくれた気がした。