偽装懐妊 ─なにがあっても、愛してる─
「はいっ……」
私は精一杯うなずいて、許しを乞う。怒りに満ちていた彼の表情は歪み、ゆらりとソファから離れていく。
「冬哉さん……」
「勘弁しろよ……。そうやって、何度も俺を乱さないでくれ」
冬哉さんはそう言い捨て、モニターの前に座った。私は左右の暗いモニター越しにずっと彼を見ていたが、もう目を合わせてはくれない。
どうしたのだろう。一瞬だけ見えた彼の瞳が、切なく揺れていた気がした。
「大丈夫ですか?」と声を掛けたかったが、グッと飲み込んで背中を見つめる。
私が冬哉さんを乱している……? それって、どういう意味だろう。なにか彼を傷つけてしまったのだろうか。
何度苦しい言葉を向けられようと、彼の見えない気持ちを知りたくてたまらなかった。