偽装懐妊 ─なにがあっても、愛してる─


(もや)のかかったままの気持ちでいると、枕の下から「ヴー」とかすかな振動音がした。
私はアキトくんから渡された黒いスマホを、ここに隠している。

このスマホにはアキトくんの電話番号とメッセージIDが初めから登録されていたが、今まで連絡が来たことはなかった。

なんだろう、とトーク画面を開くと、初めてアキトくんからメッセージが来ている。

【八雲冬哉と金森家の接点がわかってきた。八雲の母方の実家が、開業当時のカナモリ菓子店と同じ地区にある】

不意打ちの冬哉さんに関する情報に、ドクンと心臓が鳴る。

【八雲は両親は早くに亡くしていて、おそらく祖父母が育ての親だ】
< 147 / 211 >

この作品をシェア

pagetop