偽装懐妊 ─なにがあっても、愛してる─

【盗られるなんて言い方はしないで。きっと理由があるはずなの。私は、冬哉さんが話してくれるまで待っていたい】

【凪紗。そろそろ騙されてたんだって自覚しろ。八雲は、今までお前のことを利用していただけなんだよ】

【騙されてたとか、利用されていたとか、たとえそれが事実でも私には些細なことだよ。冬哉さんが好きだから、なにに悩んで、どうしてこんなことをしているのかが知りたいだけ】

おそらく、またアキトくんに呆れられているのだろう。
これを送ったらさらに絶句されるかもしれないけど、私はさらなる本音を送った。

【もし冬哉さんの事情が聞けて、はなごころが本当に必要な理由があるのなら、渡すことはできないのかな?】

叱責されることを覚悟し、送信をタップした。
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