偽装懐妊 ─なにがあっても、愛してる─
スマホを両手で握りしめながら、それを額から枕へと落とした。
怖くて返事ができず、振り向くこともできないまま、崩していた足がプルプルと震えだす。
「冬哉さん……あ、あの。これは……」
声の通り、部屋に入って私のすぐうしろ、ベッド横に立っているらしい冬哉さんの手が、視界の横から伸びてきた。
そして私の手の中のスマホを奪い取られる。
彼の手を追いかけて視線を移すと、眉間に深く皺を作った冬哉さんが立っていた。
「なんでこんなものを持っている」
目を見開いて睨む彼に許しを乞うように、私は首を横に振る。
「黙っていてすみません……。たまたま、ホテルで従兄弟に会って渡されたんです」
冬哉さんの頬をピクリと動く。疑われている。こんな話、信じられないだろう。