偽装懐妊 ─なにがあっても、愛してる─
怒らせてしまったのなら精いっぱい叱責を受けようと思ったのだが、彼はなにか違う雰囲気も纏っている気がした。焦りや悲しみのような眼差しを感じる。
冬哉さんはいつも、見せる表情の裏になにかが隠れている。
「……お前も、裏切るんだな」
「違います!」
それだけは誤解をしてほしくなく、強い瞳を向けた。
これまでの私は冬哉さんを裏切り、苦しめていた部分があるのかもしれないが、今は全力で向き合いたいと思っている。
私の言い訳を聞く前に、冬哉さんは暗い目をしたままスマホのトーク画面を出す。
私とアキトくんの履歴を見ているらしく、彼は親指を上下に動かしている。
メッセージで、ご実家の話を勝手に聞いてしまった。申し訳なくて、ベッドの上で膝を折り、うつむいた。