偽装懐妊 ─なにがあっても、愛してる─

「この男が従兄弟?」

ふいに質問をされ、慌てて顔を上げる。

「はい。叔母さんちのアキトくんです。幼なじみのようなもので」

「これはどうやって渡された」

「この間、ラウンジで話しかけられたんです。その……私のハンドバッグに、ずっと前からGPSが仕掛けられていみたいで。アキトくんから誕生日にもらったものなんですが」

テーブルの上に置いている、白のバッグを目線で示した。

冬哉さんは今までなんとも思っていなさそうたったそのバッグがまるで忌々しいものに変わったように、表情を歪めている。

「……お前、いつもあれを持ち歩いてたよな」

「はい。すみません。でも、どの部屋にいるかまではわからないそうですよ。今は居場所を金森の皆には秘密にしてくれているみたいだし」

「普通、そういうものは持ってこないだろ。俺と会うときは」

え? どういう意味?
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