偽装懐妊 ─なにがあっても、愛してる─
──それから別荘の話し合いを通してお話しするようになって三か月が経った頃、私がポロッと「好きです」と言ってしまったんだっけ。
そのときはまさか、「俺も」と言ってもらえてお付き合いが始まるとは夢にも思わなかったなぁ……。
今でもたまに、夢を見ているんじゃないかと思うときがあるもの。
冬哉さんとの出会いをぼんやりと思い返しながら、私はY.SPACEの社長室へ先導してくれる彼に付いていく。
今日は土曜日で、週休二日の私は休み。
冬哉さんの事務所は水曜日と日曜日が定休日だが、有名建築士の彼のスケジュールは休みなど関係なくアポイントメントでいっぱいで、日曜日が埋まっていれば、こうして私が土曜の仕事中に会いに来る週もしばしばある。
彼の背中を見つめながら、胸がちくりと痛んだ。
本当はもっと会いたいし、出掛けたい。