偽装懐妊 ─なにがあっても、愛してる─
それなら仕事終わりの夜に会うという方法があるかもしれないが、私にはそれができない理由があった。
「凪紗」
いつの間にか個室に着き、アーチ状の脚をしたお洒落なデスクに寄りかかった彼が私に手招きをする。
それに吸い寄せられるように近付いた。
「と、冬哉さん……」
ギュ、と抱き締められ、慣れずに強張る私の肩に、顔を埋められる。
「……昨日からもう、凪紗とこうしたくて、たまらなかった」
冬哉さんの腕に腰と背中を引き寄せられる。体はビクビクと反応し、ハァ、と熱い息が漏れ出した。
なんだか変態みたいな私だが、湧き上がってくる幸福感に溺れておかしくなりそうだ。
「キスしていい?」
耳元でささやかれ、もうされるがままコクンとうなずく。すると焦らしながら唇を奪われ、クチュ、と音を立てて密着した。