偽装懐妊 ─なにがあっても、愛してる─
もう嘘はいらない


◇ ◇ ◇


それから、一か月。

お互いに仕事のないこの日、初めて冬哉さんの自宅にお邪魔することになった。

「わあ! すごく綺麗ですね。広いし、素敵」

都内の1LDKマンション。外観も内装も、冬哉さんらしいメタリックで近代的な建物だ。
室内の家具はモノトーンで統一され少し寂しい感じがしたが、透明感のある冬哉さんはこの部屋に違和感なく溶け込んでいる。

案内されたリビングに立ち尽くし、キョロキョロと見回した。

「座ってて」

彼に黒いスクウェア型のソファを指差され、私はそれに従い「失礼します」と腰を下ろした。
キッチンのコーヒーメーカーにカップが並べられ、いい香りが漂ってくる。

「あ、そうだ、これ。冬哉さんのお家に行くって言ったら、おじい様が持ってけって持たせてくれたのですが……」

コーヒーが出来上がるのを待っている彼のもとへ、重さのある箱の入った紙袋を持っていく。
冬哉さんは「え……」と顔を歪めて困惑するが、私も同じ気持ちである。
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