偽装懐妊 ─なにがあっても、愛してる─
「……凪紗。そういう反応するなよ」
甘く囁かれたその言葉は、まるで怒る気のない忠告だった。
涼しいキッチンでゆっくりと顔を近づけ、唇を重ねる。
「ん……」
新たな関係となった私たちは、甘くてフワフワとした以前より、熱く深いキスで愛を確かめ合う。
静かなキスの音だけが響く中、私は背伸びをし、冬哉さんの胸板に体を押し付けた。
今日は初めての冬哉さんの家。以前は、ここへ来てはならないというのがお互いの暗黙の了解だった。清い関係でいなければならなかったから。
でももう、私たちにはなにも後ろめたいことはない。
「……ん、ま、待て、凪紗」
しかし白熱すると、冬哉さんは今でもこうして私を止める。今日は覚悟してきたのに、と納得がいかずに口を尖らせた。