偽装懐妊 ─なにがあっても、愛してる─

「……冬哉さんと繋がりたいです。心も体も」

「頼む、我慢できなくなるから。あんまりかわいいこと言うな」

また少し引き離された。
ちゃんと我慢できてるじゃない。十か月も清い関係のままで平気だったし、今も私を抱こうとしてくれない。
私はもっと愛し合う関係になりたいのに……。

「冬哉さん、本当は我慢なんてしてないんじゃないですか。私のこと子どもっぽいと思ってません?」

「思ってないよ」

「だって、全然平気そうなんだもの……」

ヘソを曲げてソファへ戻ろうとする私を、彼は困った顔で「そうじゃないよ」と手首を掴んで引き留める。

「俺は社長をこれ以上裏切るわけにはいかないんだ。結婚まで清い付き合いをするのが金森家の掟なんだったら、それに従う。……俺は、お前のことはもう、大切にしかできないんだよ」

「冬哉さん……」

断られたのに、不覚にもキュンとした。
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