偽装懐妊 ─なにがあっても、愛してる─
「ん……冬哉、さん……好き……」
抱きついて彼にキスをせがむと、困った顔とは裏腹に熱烈なキスを返され、私は燃え上がった。
冬哉さんの吐息も徐々に余裕なく乱れ、私たちはさらに密着して酔いしれる。
「凪紗っ……もう、ダメだ……」
「冬哉さんは?」
「え?」
「冬哉さんは、私のこと、好き?」
肩で息をする彼の言葉は一度途切れ、そしてなにかが弾けたように
「好き」
と、答える。
「好き。好きだよ、凪紗。もう嘘をつかなくていいなんて、夢みたいだ」
溶け合うふたつの心と体に、もう嘘はなにひとつない。
END