偽装懐妊 ─なにがあっても、愛してる─
私は口を挟めなかった。
なんて無力なのだろう。情けなくて泣きたくなる。ひどい言葉で言い返したいくらいに悔しくてたまらないのに、悲しみがそれを上回ってしまった。
真摯な冬哉さんを私の身内が否定して、話すらまともに聞いてもらえない。こうなる前におじい様ときちんと向き合ってこなかった私の責任だ。
宙ぶらりんのまま掟の言いなりになった付き合い方をせずに、もっと器用に立ち回れなければならなかったのだ。
私がどんなに叫んでも冬哉さんを守る力がなく、こうして結局、彼を矢面に立たせて傷つけている。
こちらは必死で向き合っているつもりなのに、誰も私の方を見てはいない。
私の話など、誰も聞いてはくれないのだ。