偽装懐妊 ─なにがあっても、愛してる─
視界に広がる光景と、お腹にあてられた感触に目が回る。
これは、現実? 冬哉さんが言っているのは、初体験すらまだの私たちが、赤ちゃんを作るってことらしい。
あまりの衝撃的な提案に動揺を隠せず、背中はのけ反り、手は枕元のシーツを握りしめていた。
「あのっ、私っ、今、とても混乱してしまって」
「大丈夫。わかってるよ」
乱れた髪を整えながら撫でられる。それだけで体が反応し、息が上がってきた。
「俺がお願いしているのは、ここで凪紗の初めてをくれないか、ってことだけ」
「今ですか、そしたら、に、妊娠、するんですか、私」
「それは運だ。やってみないとわからない。……俺の子を産んで家族になってくれる気があるなら、な」
──そんなの決まっている。冬哉さんと、家族になりたい。