偽装懐妊 ─なにがあっても、愛してる─

◇ ◇ ◇


しかし、それから二週間が経つと、私の心は一変していた。

悲しみは確実に弱まっていき、代わりにトンネルの先に光が見えるかのような期待が胸の中にわき上がっている。

生理予定日から、七日が過ぎたのだ。

今まで遅れることはほとんどなかったから、ここまでずれるなんて珍しい。なにか原因があるとしか思えず、心当たりはひとつしかない。

お腹をさすってみる。体の中がなんとなく違う、なにかが起こっている、そう感じてならなかった。

私、妊娠しているかもしれない。

心臓が晴れやかに痛くなり、口もとが勝手に緩む。
< 64 / 211 >

この作品をシェア

pagetop