偽装懐妊 ─なにがあっても、愛してる─
両親も同じで、蒼白した表情から混乱が感じ取れる。唯一、おじい様だけは取り乱すことなく、静かに揺れる青い炎のように怒っていた。
「やはりな……知っておったぞ。貴様が信用ならない人間だということは。初めて見たときから感じていた。『はなごころ』の商標を抹消してどうするつもりだ。成り代わって売り捌こうとでもいうのか」
「それをアンタが知る必要はない」
「貴様、こんなことのために、凪紗を利用したというのか」
違う……私は利用されていない。
だって、さっきまで、好きだと言ってくれて、ずっと変わらないと約束して、家族に納得してもらおうとここへ来たのだ。
商標権? 製法?
そんな話、私はひとつも聞いていない。