偽装懐妊 ─なにがあっても、愛してる─

◇ ◇ ◇


「ソファにでも座ってて」

冬哉さんが持っていたカードキーで開けられた部屋は、すべてが白とチョコレート色で統一された、十二畳ほどのリビング。

中心はアンティークソファにテーブル、角には小さなダイニングキッチンがあり、左右の壁にはバスルームのほかにひとつずつ扉がある。おそらく、ここからふたつの寝室へ行けるツーベッドルームだろう。

壁際には、横幅二メートルほどの長い大理石のテーブルに、デスクチェア。デスクの上にはモニターが三台あり、壁のふたつのコンセントに対して何本もの配線が几帳面に繋がっている。クラシカルな内装とは真逆のシステマチックなブース。ここの物は、冬哉さんの私物だろう。

ということは、ここで仕事をしているの?
いつから? 会社でなく、どうしてわざわざここで?

私をソファへ放った冬哉さんはデスクチェアに座り、モニターと対峙する。私はソファの前で座れずに立ち尽くしたまま、デスクへ向かう彼の背を見つめる。

冬哉さんは、真ん中のモニターの電源を点けた。
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