政略結婚のはずが、極上旦那様に溺愛されています
意地悪男と政略結婚
ぎしり、とベッドが軋む音に、思わず身体の力が入った。
シーツの上でひっくり返った私を見下ろしているのは、勤め先の尊敬するエースであり、憎きライバルでもある同僚の和泉秋瀬(いずみあきせ)だ。
明かりのない薄い闇の中、じっと見つめられて落ち着かない。だけど顔に浮かんでいる表情は、距離が近いこともあってよくわかった。
――笑っている。
そう、彼はいつだって人を食ったような笑みを浮かべている。上司も同僚も後輩も、みんなこの――悔しいけれど魅力的な笑顔に心を許してしまうのだ。
だけど私は秋瀬くんを、そういう意味で好きだと思っていない。だってこの人は、ことあるごとに私の邪魔をしてくる目の上のたんこぶだから。
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