政略結婚のはずが、極上旦那様に溺愛されています
 そう、そもそも合田が宮木にパクられたと訴えられるのはおかしいのだ。コンペ中のデザインを競い合っている会社同士が確認できるわけがないのだから。モンタニアを通していないのだとしたら、宮木のデザインをなんらかの手段で手に入れた以外にない。

「二度とするなよ」

「ど……どうして」

 青くなりながら、合田が俺に向かって言う。

「決まってるだろ。俺のかわいい妻を寝不足にさせたからだよ」

 このパクリ疑惑のせいで、真白がどれだけ苦労したか。以前よりずっとやつれた顔を思い浮かべるだけではらわたが煮えくり返る。

 これ以上、La seule fleurの人間の顔を見ていたくなかった。

 真白にすぐ行くと言ったのもあり、背を向けて会議室を出る。

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