政略結婚のはずが、極上旦那様に溺愛されています
 からかい混じりの声が聞こえて顔を上げる。

「違うよ。秋瀬くんが私を好きなの」

「俺の潔白を晴らすために、乗り込んできただろ」

「そっちだって、パクリ騒動のときに助けてくれたじゃない」

「ベッドでおねだりするのはいつも君だ」

「キスは秋瀬くんからばっかりでしょ」

 こんな言い合いも、ライバルだと認識してからずっと繰り返してきた。夫婦でいる以上、これからも延々と続けていくのだろう。

 ほかになにか秋瀬くんにツッコめるネタはあっただろうかと頭の中で考えているうちに、不意打ちのようなキスが唇をかすめた。

「今更言うのもなんだけどさ。俺の奥さんになってくれないかな」

「もうなってるよ?」

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