政略結婚のはずが、極上旦那様に溺愛されています
 本当に今更で首を傾げてしまった。改まらなくても、私はこれからも秋瀬くんの妻でいるつもりだ。

「区切りをつけておきたくて。本来、結婚したい相手に言うものだろ。お父さんじゃなくて」

「たしかに私、ちゃんとプロポーズされてない」

「した方がいいか?」

 真面目に聞いてきた秋瀬くんをからかいたくなって、いつもされている分反撃に出てみる。

「動画に撮りたいから、するときは言ってね」

「なんのために撮影するんだよ。やめろよ」

 くしゃっと秋瀬くんが子供のように笑った。もともと童顔なだけあって、ますます幼く見える。憎らしいと思っていたのが、今はかわいいと思えるなんて、自分の心の変化には驚かされるばかりだ。

「ずっと言おうと思って言えなかったことが、もうひとつあるんだけど」

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