政略結婚のはずが、極上旦那様に溺愛されています
「なに? この際、全部言っちゃおうよ」

「じゃあ、会社でも結婚指輪付けてくれ」

 すり、と秋瀬くんの手が私の左手の薬指を撫でた。

 そういえば最初にもらったのに、ずっと付けずに生活していた。最初は結婚の事実をみんなに知られないためだった。でも、もうしても問題ないだろう。

 そこでみんなからはまだ誤解されているのを思い出す。

「指輪を付けて、これからもいい夫婦でいますってみんなに言わないと。秋瀬くんがスパイだって話、大騒ぎだったんだからね」

「いじめられたらどうしよう。慰めてくれるよな?」

 冗談めかした言い方にぷっと吹き出す。

「秋瀬くんをいじめる話が出たら、私が率先して嫌がらせを考えるね。なにがいい?」

「離婚以外ならなんでも」

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