政略結婚のはずが、極上旦那様に溺愛されています
 送り先はドルチェだ。私と秋瀬くんの共同デザインをいたく気に入った担当者は、そのままスライドする形で私たちに新作シリーズの広告を依頼してくれた。これまでは葉鳥さんを通してやり取りしていたのが、今は私が連絡担当になっている。

 次のシリーズのテーマは『特別な日のプレゼント』。もちろん、会社でも家でも秋瀬くんと頭をひねっていくつもの案を出し合った。

 また気に入ってくれるといい。そんな思いを込めてメールを送信する。

 これで私の今日の仕事は終わりだ。パソコンの電源を切り、帰り支度を始める。

「しろちゃん、先に帰る?」

 ふらっと私のデスクまでやってきた秋瀬くんが声をかけてきた。

「ううん。だってこれから秋瀬くんお帰りの会でしょ?」

「え、出るのか」

「なんで? だめだった?」

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