政略結婚のはずが、極上旦那様に溺愛されています
「いや、また酔ったらどうしようかなーと」

 私は秋瀬くんの前で二度、酔ってやらかしている。どちらも本音を隠せなくなって、自分の弱みも真実もさらけ出した。

 あれがあったか、今こうして本当の夫婦になれている、という事実をポジティブに捉えているのは私だけで、秋瀬くんは私の酒の弱さを気にしているようだ。

「酔ったら家まで連れて行ってね」

「そのまま襲ってもいいなら」

 かつては冗談だったそれが、今は本気だと知っている。

 今の秋瀬くんは本当に襲うだろう。私に隠し事がなくなってから、ずいぶんと遠慮が亡くなり、隙あらば手を出してこようとする。とんでもない男だ。

「襲いたいならどうぞ」

 私だってやられっぱなしの女ではない、と秋瀬くんをからかってみる。

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