政略結婚のはずが、極上旦那様に溺愛されています
 逃げたい私を、秋瀬くんはさらにきつく抱き締めて抑え込んだ。そのせいでこんな恥ずかしい瞬間をスマホに収められてしまう。

 こうなっては、もう私にはなにもできない。秋瀬くんにはきちんと責任を取らせようと頭の中で考えることで、恥ずかしさを忘れようとした。



 飲み会が終わっても私にくっつく秋瀬くんを、なんとか家まで運ぶ。ベッドまで連れて行けるだろうかと心配しながら、玄関のドアにカギをかけたときだった。

 おとなしくしていた秋瀬くんが急に私の手首を絡め取り、壁に縫い留めてキスをする。完全な不意打ちに対処ができず、なすがまま秋瀬くんに唇を奪われた。

「んん、んっ」

 は、と荒い息がこぼれ、私の身体の熱を引き上げる。

< 199 / 342 >

この作品をシェア

pagetop