政略結婚のはずが、極上旦那様に溺愛されています
 足の付け根を秋瀬くんの足で擦られ、びくっと肩が跳ねる。もう身体の力は完全に奪われていた。秋瀬くんの足に座る形で、頭の中までぐちゃぐちゃにするようなキスを甘受する。

「……っは、ふ」

 ようやく唇を解放されて息をすると、一気に肺に新鮮な空気が流れ込んだせいで軽くむせてしまった。

 涙目になりながら秋瀬くんを見上げ、ぞくりとする。

「ここまで我慢するの、マジできつかった」

 居酒屋でのとろんとした甘え声とは違う、いつもの秋瀬くんの声。

 それが私に、ひとつの真実を教えてくれた。

「酔った振りをしてたの?」

「当たり。あのぐらいじゃ酔わないよ、俺は」

 明かりもついていない玄関で、私に顔を寄せながら秋瀬くんが囁く。

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