政略結婚のはずが、極上旦那様に溺愛されています
 さっきまでの奪うようなキスとは違い、優しく気持ちを伝えるようなキスが唇に押し当てられる。

「愛してるよ、真白」

「……うん」

 私だって愛してる。

 気恥ずかしくて言えなかったのを察したように、秋瀬くんはまたキスをした。

 手首を押さえつけていた手がほどけ、指に絡んで密着する。秋瀬くんのぬくもりが手からも唇からも伝わって、私の強がりを溶かしていく。

 もう、私もベッドに行くまで待てそうになかった。


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