政略結婚のはずが、極上旦那様に溺愛されています
 バチバチと火花を散らす私たちの後ろで、デザインチームのみんながほのぼのと見守る気配を感じる。

「もう名物だよね、これ」

「秋瀬も煽らなきゃいいのにな」

「このふたりって、家でもこんな夫婦ゲンカしてるのかな」

 背後の雑音は気にしない。私の敵は秋瀬くんだけだ。

「じゃ、みんなで多数決取ろうか」

 葉鳥さんの鶴の一声が響く。

 そして、運命の瞬間がやってきた。



「きいい」

 エレベーターの中で私は呻いていた。壁にもたれてそれを笑うのは、今回もまた私を打ち負かした秋瀬くんだ。

「みんなも言ってたけど、ちょっと曲線的なデザインだったな。俺は好きだけど」

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