政略結婚のはずが、極上旦那様に溺愛されています
短編:休日のふたり
やけに長く感じた一週間を終え、土曜日を迎える。
忙しい仕事はいったん忘れ、週末はインプットに捧げようとしたのだけれど。
「秋瀬くんも一緒に行く?」
「ひとりで行く気だったのかよ」
美術館へ行くと言った私を呼び留めた秋瀬くんが、わざとらしく悲しそうな顔をする。
「よく考えたら、一緒にデートをしたこともないよな。いつも持ち帰りの仕事か、適当に本を読んでるかばっかりで」
「私より秋瀬くんの方が仕事人間だけどね」
別に私たちはお互いを嫌っているわけではない。むしろケンカは多いもののかなり好き合っていると言っていい。