政略結婚のはずが、極上旦那様に溺愛されています
「正直、結婚を焦りすぎたかなって思うこともないわけじゃなくてさ。普通に恋人から始めたらよかったのかなって」

「どっちにしろ、やることは変わらないと思うよ。恋人でも夫婦でも、秋瀬くんと美術館に来たと思う」

「やっぱ、いいな」

 手をにぎにぎといじられる。そうやって私の体温を自分に移そうとしているかのようだった。

 秋瀬くんはこんなふうによく私に触ったり、ちょっかいをかけてきた。本人にそのつもりはないのだろうけれど、甘えているようでかわいいと常日頃から思っている。

「もし、正親さんが政略結婚の相手として俺以外の誰かを連れてきたらどうしてた?」

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