政略結婚のはずが、極上旦那様に溺愛されています
 この人にいじめられるのが好きだと、認めたくはないのに。

「朝からなに考えてるの」

「真白のことを考えてる」

 ちう、と濡れた音が聞こえ、耳にぴりっとした電流が走る。耳朶に歯を立てないでほしい。今はそんな弱い刺激さえ、私の心を簡単に揺さぶるのだから。

「こんなにちっちゃい身体で、俺を受け止めてくれるなんてかわいいなーとか」

「秋瀬くんが無理矢理するんだよ。自覚ないの?」

「無理矢理じゃないだろ。いつもおねだりしてもらってからしてる」

 う、と言葉に詰まる。秋瀬くんの言葉に嘘はない。

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