政略結婚のはずが、極上旦那様に溺愛されています
 ごそ、と秋瀬くんが身じろぎする。さらに密着したせいで、腰のあたりの違和感に気づいてしまった。

「っ、秋瀬くん」

 わざと私へ意識させるように、秋瀬くんがそれを押し付けてくる。

「俺は強がらないから素直に言うよ。真白が欲しいって」

 いくら休日とはいえ、朝だ。そして秋瀬くんに付き合ったらきっと昼になる。せっかくの休みをベッドから出ずに過ごすわけにはいかない。

 そう言いたかったのに、秋瀬くんが最後のひと押しとばかりにまた耳を噛んだせいでできなかった。

「もういじめないで……」

「じゃあ、どうしてほしい?」

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