政略結婚のはずが、極上旦那様に溺愛されています
「おはよ」

 部屋を出てキッチンに向かい、朝食の支度をする真白を抱き締めようとする。

「おはよう、秋瀬くん。早くご飯を食べないと遅刻するよ」

 するり、と真白は当たり前のように俺の腕を逃れてリビングへ向かった。

 逃げられると追いかけたくなるのが男だというものを、彼女はたぶん知らない。

「おはようのキスは?」

「その前に寝癖をなんとかしてきた方がいいよ」

 こちらを見もせずに言う真白がもどかしい。

「どこについてる?」

「鏡を見てきたら?」

「教えてもらった方が早いだろ」

 どこ、と真白の前に屈んで手で示すよう要求する。

< 243 / 342 >

この作品をシェア

pagetop